ARTIST INTERVIEW VOL.04

鍛造作家 澤田健勝(IRON CHOP)

常に挑戦を続ける 熱く柔らかい鉄の魂

富山市の岩瀬地区、多くの作家が集まる地域の一角に工房「IRON CHOP」はある。箸置きや食器類のような小さなものから、高さ3メートルの門扉や数十メートルにおよぶフェンスといった巨大なものまでを制作する鍛冶工房だ。代表で鍛造作家の澤田健勝さんはこれらの作品のデザインから制作、ときに設置までをたった一人でこなす。

オーダーメイドとなるデザイン性の高い門扉

「空間を自由に使って表現できる」。いろいろな素材に触れるうちに鉄とは相性が良いと感じた。大学で金属加工を専攻後、山梨県の工房でヨーロッパの装飾技法である洋鍛冶の修業を積む。帰郷後は鉄工所に勤めつつ夜は制作をする生活を6年続け、2003年30歳で独立し高岡に工房を開設。2020年、活躍の場を岩瀬に移した。

コスモスのオブジェ

「誰かができることだったらやらない、自分しかできないこと」をするのだと澤田さんは語る。だからまず、作品の制作依頼を受けるにあたっては「自分の工房で作る必要性はあるのか、自分が作る必要性はあるのか、鉄で作る必要性があるのか」と自問する。依頼は神社、仏閣などの修復・復元から老舗旅館や飲食店、個人宅のファザードなど多岐にわたる。

1000℃以上に熱した鉄を素早く加工する

制作を依頼される作品のデザインや表現法は、澤田さんの自由な発想に任される場合も多いという。まずは精密な図面を描き、制作にとりかかる。作品の大小にかかわらず「近くで見られても恥ずかしくないものを作る」ことを念頭に、鉄を鍛える。
例えば、棒状の鉄材を熱して捻った箇所にわずかでも凹凸が生じればそれは作品のパーツには使用しない。優美な曲線が特徴の唐草のデザインも納得がいかなければやり直すなどまったく妥協がない。

「一生かけても鉄を理解することはできない」と話す澤田健勝さん

また、花のオブジェでは技法を駆使して花芯を表現するほか、葉の葉脈も一つ一つ丹念に打ち出すことで精緻な作品に仕上げている。そして、どんなに良いデザインであっても同じものは二度と作らないと決めている。自分に向ける厳しい目と高い技術力があって初めてできるプロフェッショナルの仕事だ。

工房に併設されたギャラリー(予約制)

難しければ難しいほど闘志が湧くタイプなのか、新しい技術の習得や研究にも余念が無い。「これまでもこれからも常に挑戦」と語る言葉は力強く、鉄と向き合うのは「楽しい!」と澤田さん。静かな存在感を放つ作品には彼の熱く柔らかな魂が宿っている。

澤田健勝(IRON CHOP)

Sawada Kensho

1972年、富山県生まれ。2003年工房「IRON CHOP」設立。2010年伊丹国際クラフト展準グランプリ受賞。2011年第50回日本クラフト展奨励賞受賞 第51回日本クラフト展招待審査員賞受賞。工芸都市2011高岡クラフトコンペ高岡マテリアル賞受賞。