究極の地産地消
「器やテーブル、装飾品といった工芸品も含めて必要なものだけでこのレストランは成り立っている。何かが欠けると全てが崩れてしまいかねない」。オーベルジュ「L’évo(レヴォ)」のオーナーシェフ谷口英司さんはこう話す。
利賀川を望む人里離れた山あいをあえて選んで2020年にオープン。富山県産の食材にこだわった「前衛的地方料理」を提供し、利用者が各地から足を運ぶ。視覚的にも美しさを追求した料理を盛りつける器などもみな地元作家の作品だ。岩崎努さんの木彫りがエントランスで来客を出迎え、テーブルは下尾和彦さん、下尾さおりさん夫妻の作。この日はイノシシ肉を使った一品が釋永岳さんの陶器とともに客をもてなした。
レヴォはevolutionから発想した造語で「進化し続ける」との決意を込めている。「一緒に進化していきたいと感じた作家のみなさんに発注している。私の料理をよく理解してくれており、自由に創作してもらっているが、その発想にはいつも驚かされている」と谷口さん。「富山の食材生産者や工芸作家のみなさんが県外からやって来た私にいろんなことを気づかせてくれた。今もオール富山、チーム富山で支えてもらっている。食文化とその背景にあるストーリーも含めてレヴォに来れば富山の全てが分かるようにしたい」と語る。