KOGEI ✕ 富山 VOL.03

SYMPOSIUM

富山市新根塚町

シェフの料理観を五感で味わう

イノシシ肉のハンバーガー×器(神谷麻穂作)

富山生まれの器と料理。同じ気候風土の中で培われたもの同士は「底辺にあるトーンが似ている」からなのかシックリ馴染むと語るオーナーシェフ廣野智之さん。以前からお皿など、気に入った作家のものを少しずつ集めていたという。2023年9月に新店を移転オープンするのを機会に、富山で活躍する作家さんたちの作品をより多く取り入れたお店にしたいと思い至った。

廣野シェフと和紙の風合いが趣のある盛り付け台(アルベキ社)

そうした思いに駆られた理由は、彼の作る料理にある。「うちはクチーナ・テリトリアーレ(地域料理)のお店なんです」と廣野シェフ。旬を大切にし、その地域でとれる食材を使って土地を表現する料理だ。その言葉通りジビエや魚、野菜といった食材の99%はシェフが厳選して直接仕入れる富山産。イタリア・フィレンツェをはじめ、マルケ州、サルディーニ島での約10年間の修業中に体験した、地元の食材を愛し旬の食材を地産地消する食文化に感銘を受けたことが根底にある。東京出身の廣野シェフだが、奥さんの故郷である富山に戻り、「標高差約4000メートルもある富山で育つ豊かな食材でこの土地を表現したい」と思った。

熾火で調理したロマネスコ×器(前川わと作)

柔らかな雰囲気が気に入った井波の作家・前川わとさんの磁器は、もともと付いていなかった蓋を作ってもらった。高岡の神谷麻穂さんには白いお皿を焼いてもらうなど、自分の料理に合うようリクエストすることもある。料理を盛り付けるときは「緊張感がありますね。良い器に良い料理をのせよう!と思う」と廣野シェフ。一人で料理しているのではなく、みんなで共同作業をしているようだとも感じるという。

ヨーロッパの古城を思わせるシャンデリア(IRON CHOP作)と梁

器のみならず富山に拠点をもつ作家さん職人さんの協力を得て作り上げられたお店には、重厚なシャンデリアや古民家に使用されていた太い梁。窓の外には手積みされた趣ある石壁など。廣野シェフ自身、愛する富山の自然や食、人とコラボする気持ちで日々、お客さんを迎える。「来てもらった人に“富山”で感動を与えられたら…」との想いが、料理を取り巻く隅々にまで満ちている。

SYMPOSIUM

富山県富山市新根塚町3丁目5-14
予約専用電話番号:050-3091-3088
TEL 076-413-7066